人生のA&R ~誠実さの偉大な力~

今ではオフィスのセキュリティの問題も有って下火になったかと思いますが、私が最初の会社に勤めていた頃、特に1990年代半ば頃までは、生命保険の外交員の女性達がしょっちゅうオフィスエリアまでやって来て営業活動をしていました。
外交員の中年女性が若手社員を捕まえて商談コーナーで話している姿を見ない週は無い、という感じでした。

私も、結婚した時とか、子供が生まれた時とか、イベント毎に都合3件の生命保険の契約をしました。
それも同じ生命保険会社とではなく、3社とでした。
最初の保険契約は、A社の外交員のMさんの営業が巧みで感じが良かったので契約しました。
次の保険は、父が以前勤務していた所縁で、B社指名で契約を結びました。
最後の保険は、複数の保険会社に同一条件での提案を出してもらい、その中で一番メリットが感じられたC社と契約しました。

契約後の外交員の対応は三者三様でした。
A社のMさんが訪問して来る際は、必ず新商品のパンフレットと目論見書を持って来て、保険契約の切り替えや付加契約を勧めました。
B社のNさんは、保険契約締結後、最後の保険の見積依頼で呼ぶまで、私の前に姿を現しませんでした。
C社のOさんは、年に二度、小さな手土産を持って、季節の挨拶に来ました。
新商品の説明をすることも有りましたが、挨拶だけの時が多かったです。
私はOさんの不器用だけど誠実な人柄に好感を持ち、もし今度何か生命保険が必要になった場合には、Oさんの会社との契約を優先的に考えたい、と思いました。
結局、その機会は訪れませんでしたが。

今では聞かれなくなりましたが、十数年程前に人事政策のA&Rという言葉が流行ったことがあります。
Attraction (惹き付け)とRetention (維持)の頭文字を取ったもので、如何にして良い人財を採用し、かつ、採用した人財を辞めさせないようにするか、の戦略の意味でした。
一般に、良い人財を採用するのも難しいが、その人財をキープすることはさらに難しいのです。

AttractionとRetentionは、人事政策の文脈で語られましたが、これは営業活動に於いても成り立つ原理です。
注文を取ることは大切であり、難しいですが、受注した仕事を満足の行くようにやり遂げ、次の受注につなげるように顧客を維持して行くことはより大切であり、より難しいのです。

A&Rは仕事だけに限りません。
恋愛・結婚に於いてもこれは真理です。
Aは意中の人の心を射止めること。
Rはパートナーの心を離れさせないこと。
この分野の悩みは全て、AttractionかRetentionのいずれかが上手く行っていないことに関連していると思います。

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人生には全てA&Rが肝要、と心得るべし。

Aに必要なものは瞬発力。
Rに必要なものは持久力。
そして、両者に必要で、何よりも重要なものは誠実さだと思います。

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