フォーカシング ~身体感覚に魂の声を聴く~

人が悩みや苦しみを感じる時には、頭で考えていることと心で感じていることが一致していません。
不一致が大きくなると、それが心身症として身体症状に出たり、神経症として現れたりします。
身体は頭よりも心と親和性があるので、身体の中の声に耳を傾けることで自分の心を知り、大事にすることが心身の健康を取り戻すために効果を持ちます。
フォーカシングはそのための有効な技法です。

フォーカシングの開発者であるユージン・ジェンドリンは哲学者で、思考や感情が体験からどのように生じるのか、ということを研究テーマにしていました。
彼はカール・ロジャーズのクライエント中心のカウンセリング技法に関心を持ち、ロジャーズの下でカウンセリングを学びました。
そして、ロジャーズのカウンセリングの録音を分析して、上手く行ったカウンセリングでは共通してクライエントが何らかの体感覚を感じながら言葉を発していることを発見しました。
それを心理療法の技法として定式化したものがフォーカシングです。

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フォーカシングを行う人のことをフォーカサーと呼び、フォーカサーの介添えをしてフォーカシングの促進を援助する人のことをリスナーと呼びます。
フォーカサーは眼を閉じ、呼吸を整え、全身から力を抜いて、リラックスした状態に入って行きます。

フォーカシングに入って行くのには3つの入り口があります。
ひとつ目は、気になる人や事柄を選んでそれを感じる入り口。
ふたつ目は、今のからだの感じを感じる入り口。
みっつ目は、この頃どんな感じで生きているかを感じる入り口。
どの入り口から入っても結局は同じ感覚に行き着くのですが、その時にフォーカサーが入り易いと感じる入り口を選択すれば良いのです。

いずれかの入り口から入って、しばらくぼんやりと身体の感じを探っていると、そのうちに何らかの感覚を感じて来ます。
例えば、首筋が重くなって来る、とか、脇腹がチクチクして来る、とか。
こうした体感覚のことをフェルト・センスと言います。
フェルト・センスは潜在意識の中にあるものが境界のこちらへと浮かび出て来る言葉になる前の言葉の原型なのです。

フォーカサーは自分が感じているフェルト・センスを言葉にしてリスナーに伝えます。
リスナーはフォーカサーの言ったことを繰り返したり、共感的な質問をしたりして、フォーカサーが安心して自らのフォーカシングに集中出来るように援助します。
フォーカシングの最中には、体感覚だけでなく、イメージが出て来ることもあれば、感情が表出されることもあります。

自分のフェルト・センスと取り組んでいる時、フォーカサーはよくつらそうな表情をします。
そのつらそうな表情が或る時ふとなごみます。
リスナーが「今どんな感じですか」と尋ねると、フォーカサーの体感覚に変化が現れています。
この変化のことをフェルト・シフトと言います。
1回のフォーカシングの中で何回もフェルト・シフトが起こることもあります。

大抵、フォーカシングが終わる頃には体感覚が心地良いものに変わるか、心地良くは無くとも、イヤな感じが我慢出来る程度に軽減された状態になって来ます。
解決しないが、フォーカシングをこれ以上続ける気力が無くなった場合には、最後に残った体感覚に名前を付けてどこかに置いて、次回取り出せるような処置をしてセッションを終了します。

フォーカシングをしている最中に、自分の抱えている問題への気付きを得ることもありますし、セッションが終了して自分の家に帰宅してからフォーカシングの意味に気付くこともあります。
そうして得た答えは本当に自分の心の中から出て来たものなので、納得感が得られます。

カウンセリングルーム・メイウッド


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