箱庭療法 ~気付きとエンパワーメント~

「庭」という言葉にはプライベートな響きがあります。
公園のように自由に立ち入ることが出来る場所ではなく、個人の邸宅や、城、寺院などの敷地に造られていて、持ち主の好意によって拝観出来るプライベートなスペース、という趣を持っています。
「庭」はそれが付設されている建物と調和しており、持ち主の好みや個性が色濃くにじみ出ています。
そして、持ち主にとっては、「庭」がとてもくつろげる癒しの空間でもあります。

箱庭療法では、クライエントが自分の「庭」を、内寸72cm×57cm×7cmの木製の砂箱の中に造ります。

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砂箱の内側は青い色で塗られ、白い砂が敷き詰められています。
白い砂は細かく、サラサラしており、触っていると子供の頃砂遊びしたことを想い出します。
砂を掻き分けて青い色を露出すれば、その部分を海や川や池のような水に見立てることが出来ます。

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棚に並んだ数々のミニチュア(人形、動植物、山や滝のような自然物、建物、乗り物のような人工物など)の中から好きなものを選び、砂箱の中に置いて行きます。
いつの間にかクライエントは作業に没頭しています。
これ以上置けない、というところに達したら作業終了です。

クライエントとカウンセラーは、作り終えた庭について話し合います。
作庭中は庭の中にいたクライエントは、話をする段階では庭の外から庭を観ます。
庭には知らず知らずのうちにクライエント自身の心が表れています。
クライエントは客観的に自分自身の現在の状況を観ることが出来ます。
そして、ふだんは気付かない自分の性向やリソースに気付きます。
なかなか自分自身の姿を相対化して観ることは難しいものですが、箱庭療法という手法では砂箱の枠の外から観ることによって、文字通り枠の外に出て相対化して観ることが可能になります。

箱庭で得た気付きは、占いのように他者から教示されたものと異なり、自分自身の内から発しているものであるため、納得感が得られ易く、また、その気付きを具体的な行動に結び付け易い、という利点があります。
そして、具体的なイメージをクライエントとカウンセラーが共有出来る点でも優れたツールと言えます。

箱庭を作る作業は「表現」の方法のひとつでもあるので、メンタル・メタボリズムの活性化という効果もあります。
心の中に沢山詰まっていて苦しいのに上手く話が出来ない、という人の場合、箱庭を作って表現の出口を設けることで話し易くなります。
或いは、無理に話さなくても、箱庭を作るだけでも心の整理が付いて来ます。

心のエネルギーが弱い、言い換えれば、潜在的な心のエネルギーを十分使えていない人の場合、砂箱を大きく感じ、そこに十分に物を置けない、と感じるようです。
しかし、そのような人も回を重ねる毎にミニチュアを置くスペースが拡がり、作業が楽しくなって行きます。

水は全ての生命の源です。
砂箱は内側に青い色をした水を内包しており、作庭する人がそこに水を意識すると、知らず知らずのうちに潜在意識に生命エネルギーが補給されて来るようです。

自分を相対化して観ることで気付きを得て、心のエネルギーを取り込むことが出来るコンパクトでプライベートな「庭」。
それが箱庭療法なのです。

カウンセリングルーム・メイウッド

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